平均年齢30歳!若手蔵人が魅せる「新しい酒造り」で見えた「紀土(きっど)」の美味しさ!

今回は、和歌山県の日本酒「紀土(きっど)」についてご紹介したいと思います。
※画像の参照元:平和酒造

平均年齢30歳!若手蔵人が魅せる「新しい酒造り」で見えた「紀土(きっど)」の美味しさ!

和歌山のヤングな酒造「平和酒造」

平和酒造。なんとも穏やかでほんわかした名前の酒蔵ですよね。

その名の通り、平和な世の中で酒造りができることに感謝して付けられた酒蔵です。

平和酒造の特徴は、蔵人の平均年齢の若さにあります。

なんと平均年齢30代!社長である山本典正さん自身も40代で、肌で感じる若者の意見を存分に取り入れた酒造りを実現しています。

先代まで、他の酒造と変わらない「100円パック酒」を作る格安日本酒を作っていた平和酒造。傾く経営とこだわりの見えない酒造りに危機感を覚え、改革に乗り出します。

ベンチャー企業という言葉がまだ浸透していない1990年代。「既存の企業を再興する」という大きな挑戦を酒造というクラシックな業界で始めた第一人者でもあります。

平和酒造はそのイノベーティブな取り組みから、経済誌に取材を受けることもしばしば。有名な取り組みでいうと、以下のようなものが挙げられます。

  • 通年雇用を採用(酒造では季節雇用が一般的)
  • 大卒者を積極的に採用(酒造では高卒者が弟子入りする流れが一般的)
  • 酒の仕込みなど工程作業のマニュアル化(杜氏が一任して管理するのが一般的)

今回は、日本酒業界の若手勢、改革者、そしてDXの先駆けとも言える平和酒造の主要銘柄「紀土(きっど)」について詳しく見ていきましょう。

紀土(きっど)について

紀土の読み方は「きっど」。

日本酒としてはかなり新しい視点で名づけられたような響きですよね。その通り、紀土は現当主の典正氏が2008年に生み出した新たな一本です。

紀土(きっど)の由来は2つあります。

  • 平和酒造の地元:和歌山にある紀州の風土にちなんで
  • KID(子どもたち)と一緒に成長していきたいという想いにちなんで

紀土の特徴は、紀土ブランドで味わえるテイストのバリエーションの多さにあります。濃いやつがほしい、悲しさに浸りたい、リフレッシュしたい…

あなたの今日の気分にピッタリ寄り添う一本を生み出す紀土について、詳しく見ていきましょう!

紀土はどのようにしてできたのか

紀土は平和酒造の革新をかけた1本でした。

2005年頃、平和酒造は「鶴梅」という自家醸造の梅酒で大ヒットを起こします。かつてパック酒の中でも梅酒を作っていた経験値を活かし、全国的な知名度を得たのでした。

卸先である酒屋からも感謝を述べられる中、梅酒とは異なり日本酒にはあまりいい顔をされないことに気づきます。

平和酒造の日本酒は、あまり美味しくなかったのではないか。

こう思った典正氏は、まったく新しい日本酒を醸造すべく杜氏と試行錯誤をはじめます。

これまでは安い経済酒(パック酒)の製造にウェイトを置いていたものの、これからは味と品質に重きを置かねばならない。これが紀土のベースとなる物語です。

平和酒造の主力銘柄「紀土」とそれ以前との違い

平和酒造の日本酒「紀土」とそれ以前との違いは、味わいの華やかさにでていると言えるでしょう。

紀土には吟醸、大吟醸があり、それらの醸し出す吟醸香はかなりストロング。蓋を空けただけでふんわりと甘く優しい香りが漂ってきます。

普通、吟醸香は飲み口に顔を近づけてやっと、口にふくんでみて初めてわかるようなものです。

紀土においては、蓋を開けただけで香って来る…紀土の吟醸香のすごさがよく分かると思います。

恐らく、この吟醸香は若者への広がりを意識した味わいづくりを意識したのではないかと考えます。

紀土は日本酒の革命児としての役割を背負っているので、日本酒になじみのない若者に愛されてナンボなんですね。

日本酒といえば、アルコールのツンとした香りとなんともいえない奇妙な味わいが印象に残っている人も多いはず。

そんなとき、「まず紀土を飲んでみてよ」とすすめ、飲めばおもわず「おいしい」と言うようなインパクトのある一杯にしたい。一番のポイントが、吟醸香だったのでしょう。

また、紀土シリーズの中には純米、特別純米といった吟醸香なし、米のうまみ強めのラインナップもあります。

「香りが強いものより米のうまみを」といったクラシックな要望にもしっかり応えられる幅広いラインナップが特徴です。

引用元:https://www.heiwashuzou.co.jp/wordpress/endemic

紀土シリーズの味わい徹底レビュー!

紀土シリーズの物語を読んでいるうちに、紀土の味わいについて気になってきましたね。

紀土シリーズとして流通を確認できたのは全部で21種類。中でも吟醸クラス、日本酒初心者にもすすめやすい「吟醸香強め」のものを5つご紹介いたします。

商品名 酒米 特定名称 精米歩合
紀土 純米大吟醸 山田錦 山田錦 純米大吟醸 50%
紀土 純米吟醸 山田錦 純米吟醸 50% ※掛米55%
紀土 純米大吟醸 Sparkling 山田錦 純米大吟醸 50%
紀土 純米大吟醸生 Shibata’s 山田錦 純米大吟醸 50%
紀土 純米吟醸生 にごり酒 山田錦 純米大吟醸 50% ※掛米55%

まずはじめにご紹介するのは「紀土  純米大吟醸 山田錦」。こちらはスタンダードな紀土で、酒米の王様山田錦を5割も削った贅沢な一本です。

ふくよかな甘味が舌をやさしく包み込むようなうまさは、紀土ならでは。若い人や日本酒が苦手な方にこそおすすめしたい1本です。

紀土 純米吟醸は大吟醸と比べて少しリーズナブル。瓶を開けたときよりも、口に含んだときのほうがふくよかな吟醸香を感じます。大吟醸より香りは控えめ。

続くスパークリングは、大吟醸のあまうまな感じがはじける泡でさらに飲みやすくなった1本。

泡のせいか、キリッとしまった味に感じます。おしゃれなパーティーの乾杯ドリンクにもおすすめ。

つづく紀土は生酒。生酒とは一度も火入れをしていない酒で、フレッシュな出来立ての味わいを口に含めばビックリすること間違いなし。

最後のにごり酒は、もろみに残る白い麹をそのまま味わえる酸が効いた一杯です。

とろりとした口当たりがきた後、甘みがぶわっと広がり、案外サーッと甘味が引いていく。いわばヨーグルトドリンクのような仕上がりになっています。

日本酒になじみがない方でも美味しく楽しめる紀土の吟醸クラス、いろんな人が集まるパーティーでもウケるであろう1本です。

紀土はどこで飲める?酒販店で手に入る?

紀土は特約店の酒屋や飲食店で楽しめます。

「紀土」ラベルだけでも21種類あり、すべてを個人で集めたり、飲み比べするのはなかなか難しいですよね。

中でも吟醸クラスの管理は難しく、ベストな温度管理で正しく保存された吟醸酒ならではの味わいを楽しむには特約飲食店に足を運ぶのがオススメ。

お店でいろいろ飲み比べてみて、ピンときたものを酒販店で購入するのがよさそうです。

横浜の関内にある当店「創作バルanna」にぜひ足を運んでみてください。

まとめ

今回は平和酒造の日本酒である紀土(きっど)についてご紹介してきました。

昔ながらの製造・販売を革新し、次世代につながる、若者に愛されるような1杯をつくる酒造りを続けられる平和酒造。

代表格である紀土は、その名の通り和歌山の紀州の風土そして子どもたちと共に成長していくことでしょう。

IT分野、雇用、イベント会社としての顔も持つ平和酒造。次はどんな驚きと発見を提供してくれるのか、楽しみですね。

紀土の味わいが気になる方は、ぜひ特約飲食店に足を運んでみてくださいね。

参照元:平和酒造公式サイト
参照元:SAKETIMES|「紀土」と一緒に成長していきたい──平和酒造変革の立役者、四代目当主・山本典正の挑戦
参照元:世界文化社|山本洋子|ゼロからわかる!図解日本酒入門

著者のイメージ画像

白澤 慶

「創作バル&お結びさんどanna」のオーナー。「Lounge Kiyora」のオーナーでもある。