トロあまな味わい無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)が人気の『羽根屋』とは?
トロあまな味わい無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)が人気の『羽根屋』とは?
富山でクセ強日本酒を扱う「富美菊(とみぎく)酒造」
富美菊(とみぎく)酒造は全ての日本酒に真摯に向き合おうとする真面目な酒蔵です。
その真面目さは、「すべてのお酒を大吟醸と同じように醸す」という理想を叶えてしまったという点にあります。
日本酒はこだわりが大事とはいえ、ひとつの商品です。効率的に生産し、効率的に販売しなくては事業として成り立ちませんが、その中で富美菊酒造では、普通種をのぞくすべての酒米を小さなザルにわけて吸水させる「限定吸水」を実施。
軽やかで透明感のある旨味と、芳醇な余韻を残す味わいはこの限定吸水からはじまるのです。
羽根屋の丁寧な仕込みには定評があり、書籍『世界で一番わかりやすいおいしいお酒の選び方(ディスカヴァー携書出版、山口直樹著)』でも「ハズさない名蔵元」として紹介されるほど。
日本酒「羽根屋」について
羽根屋の名前は、代々続く創業者の苗字「羽根」に由来します。
このブランドには「翼が飛翔するが如く、呑む人の心が浮き立つような日本酒として存在したい」という願いが込められています。
富山県内の居酒屋に行けば、冷蔵庫に必ず置いてあるのがこの羽根屋。キラキラ光ったラベルで日本酒初心者の目をも奪います。
「日本酒なら羽根屋」「初心者も飲みやすい」「刺身には合わない」こんな声を度々聞きますが、本当でしょうか?
実は、羽根屋というのは富美菊酒造のつくる日本酒の銘柄(ブランド名)であり、羽根屋と名前が付いたものでも製法や味わいはバラバラ。
よって、羽根屋には様々な種類があるため、「羽根屋は飲みやすい」「羽根屋は刺身に合わない」と、ものによって違うのです。
主要銘柄『羽根屋』と『富美菊』の違い
ところで、富美菊酒造は羽根屋のほかにも富美菊という銘柄を作っています。
羽根屋と富美菊の違いは、展開する規模。
羽根屋は全国、ひいては世界に。富美菊は富山県内を中心とした地元向けとしています。
菊のように香しく、美しい富山の代表酒であれと菩提寺の住職による命名です。
富山の名を冠するにふさわしい日本酒づくりを、という点では羽根屋も富美菊も同じと言えそうですね。
羽根屋シリーズの味わい徹底レビュー!
富山に来たらこれ飲んどけ!と言われるほどの日本酒「羽根屋」。
そのさまざまな味わいはもちろん、いつ、どれを飲むのがオススメなのか知りたいですよね。
ここからは、羽根屋シリーズで飲むべき代表を5本選抜し、それぞれ味わいをレビューしていきます!
商品名 | 酒米 | 特定名称 | 精米歩合 |
---|---|---|---|
純吟 煌火(きらび) 生原酒 | 富山県産五百万石 | 純米吟醸 | 60% |
羽根屋 大吟醸 | 山田錦 | 大吟醸酒 | 40% |
羽根屋 大吟醸 袋吊り斗瓶囲い | 山田錦 | 大吟醸 | 40% |
純米吟醸 富の香 | 富山県産富の香 | 純米吟醸 | 60% |
羽根屋 スパークリング | 国産米 | 普通酒 | 50% |
まず飲んでいただきたいのが『純吟 煌火(きらび) 生原酒』。巷で「日本酒初心者でも飲みやすい」「刺身に合わない」と言われているのはこの一本です。
あまりに濃厚で、ショッキングな味わいなことから、刺身の繊細な味わいは吹き飛んでしまいます。単品で飲んだり、デザートやキムチといった濃い味のおかずにピッタリ合いますよ。
製法を細かく言いますと、「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」といいます。詳しくは『純吟 煌火(きらび) 生原酒』の特徴:無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)とは!で説明していきますね。
続いて、『羽根屋 大吟醸』と『羽根屋 大吟醸 袋吊り斗瓶囲い』。こちらはぜひ飲み比べしたいアイテム。
日本酒の王様といわれる山田錦を用いており、絞り方を変えた2本です。
特に『羽根屋 大吟醸 袋吊り斗瓶囲い』では、袋に入れた酒のもとが自重でポタポタ垂れる部分のみを使用するという贅沢な絞りを採用。
羽根屋ブランドはの「日本酒のもとで最も品質が良いという中汲みしか使わない」というこだわりのさらに上を行くこだわりですね。
絞り方だけで違いはあるのか?ぜひ皆さんの舌で判別してみてくださいね。
『純米吟醸 富の香』は、富山県オリジナルの酒米を使用した1本。
地酒ブームが再興する中、多くの酒蔵は地元の仕込み水を使用していると謡います。一方、『純米吟醸 富の香』は、酒米から県産米、さらに県独自の米というこだわりよう。
親は山田錦と雄山錦。フランス日本酒鑑評会KURA MASTER 2020ではトップ5入りを果たす快挙となった味わい、ぜひ飲んで確かめてください。
最後に紹介する『羽根屋 スパークリング』は、日本酒初心者にもおすすめしたい1本。
ワイングラスで楽しめる気軽な一杯、日本酒の入り口としてみんなでワイワイ盛り上がるシチュエーションにピッタリですね。
『純吟 煌火(きらび) 生原酒』の特徴「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」とは!
無濾過(むろか)というのはろ過をしていないということ。一般的なお酒は「お酒のもと」をこして澄んだ日本酒として販売しますが、ろ過をしないこちらはドロッとした仕上がりに。
生というのは、加熱していないということ。一般的なお酒は麹菌を殺すために加熱しますが、『純吟 煌火(きらび) 生原酒』は加熱しません。
加熱しないため、瓶内には麹菌が生きており、常温で放っておけばどんどん発酵し続けて味が変化してしまいます。生酒は味を保つために、一定の低温で保存する必要があるんです。
生酒のフレッシュな、しゅわしゅわした味わいは火入れをしていないからこそ生み出せるもの。この味わいを求めて、厳重な温度管理のもと全国各地へと配送されていきます。
『純吟 煌火(きらび) 生原酒』はじめ、生酒は絶妙な温度管理のたまもの、お店で楽しむべきというのはこの管理の難しさにあります。
原酒というのは、水を入れていないということ。一般的な日本酒は、日本酒のもとに水を入れて度数や味わいをマイルドに調整しています。
『純吟 煌火(きらび) 生原酒』は、お酒のもとに一切水を入れていません。そのため、高い度数と濃厚な味わいが特徴。
これだけ「あるがままの日本酒」を飲める機会はそうそうありません。『純吟 煌火(きらび) 生原酒』、見つけたら飲むべきと言える一本です。
羽根屋はどこで飲める?酒販店で手に入る?
羽根屋は特約店の酒屋や飲食店で楽しめます。
ただ、よほど日本酒マニアの店でないと、羽根屋シリーズを複数本置いているところはありません。
大抵のお店では、知名度の高い「生原酒」のみが置いてあり、その他は味わえないなんてことも…
また、生酒や吟醸クラスの管理は難しく、ベストな温度管理で正しく保存された吟醸酒ならではの味わいを楽しむには特約飲食店に足を運ぶのがオススメ。
お店でいろいろ飲み比べてみて、ピンときたものを酒販店で購入するのがよさそうです。
創作バルannaはそんな羽根屋も置くことがありますので、ぜひお立ち寄りください。
まとめ
今回は、富山県に位置するこだわりまくりの酒蔵富美菊酒造が手掛ける『羽根屋』についてご紹介してきました。
普通酒を除いたすべての日本酒を大吟醸と同じように醸す。蔵から出る日本酒の質を底から上げる取り組みは、全国を超えて世界からも評価されるようになっています。
濃厚であまい味わいの無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)といえば羽根屋。スパークリング日本酒もありますので、初心者にこそオススメしたい酒蔵といえるでしょう。
羽根屋の味わいが気になる方は、ぜひ特約飲食店に足を運んでみてくださいね。
参照元:羽根屋公式サイト|商品ラインナップ
参照元:富山県酒造組合|富美菊酒造株式会社
参考本:世界で一番わかりやすいおいしいお酒の選び方(ディスカヴァー携書出版、山口直樹著)